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時を忘れる魅惑の仕掛け タイ・プーケット

タイのリゾート、プーケット島で、早朝、白砂のビーチに足を運んだ。さっそく裸足で歩いてみる。まだ強い日差しが影をひそめ、涼しさすら感じて心地いい。ダイビングやゴルフ、五つ星の宿泊施設…今までプーケットの魅力を何度も耳にした。だが、やはり訪問者をひきつけるのは、この楽園にただようのどかさだと思う。「今度はもっと長く滞在したい」。小さな島にはそう思わせる仕掛けがぎゅっと詰まっていた。(文・写真 菅沢崇)

長期滞在の魅力

島南部の展望台に立つと、かなたまで真っ青な海。思わず吸い込まれそうなになる。

政府観光庁や地元の観光協会の招待でディスカッションに参加した。テーマはプーケットの「ロングステイ(長期滞在)」。近年、中高年を中心に希望者は少なくない。日本のロングステイ財団が行った日本人の希望国調査では昨年、タイがマレーシアとハワイに次いで3位にあげられている。討論会の狙いは、そんな事情にプーケットがどう対応するかを探ることだ。

プーケット国際病院。日本語での診療をはじめ先進医療で対応しているから長期滞在でも安心だ

「ここは治安がいいし、香港やマレーシアなどにもすぐに足を伸ばせます。また長期滞在中に体調を崩しても、国際基準に合った(通訳完備の)病院が3カ所あります」
プーケット観光協会のプーリット副会長が長所をあげる。島はこれまで知名度だけで客を集めることができた。だがここ数年、観光客は年間約500万人で頭打ち。ホテル協会の幹部からは「満室にならない雨季(6~10月)には、2週間~3カ月程度の滞在でも長期として割引交渉に応じたい」との意見も出た。

自然と調和

投資の過熱も手伝って人気が出ている高級一戸建て住宅。寝室も居間も広い。

島の南端には、多くの観光客が立ち寄るプロムテープ岬がある。展望台からはパトン、カロン、カタなど縦に並ぶ美しいビーチが一望でき、海風に当たりながら眺めていると時がたつのも忘れてしまう。一方、内陸部に目を向けるとそこに広がるのは豊かな緑だ。
中でも印象的なのが自然と調和する施設の数々。空港近くの名門「ブルーキャニオン・カントリークラブ」は、チャンピオンシップコースを含むホールを整備。会員権こそ130万バーツ(約340万円)と高額だが、一般客も利用できるとあって日本人客も多い。空港から送迎付きの高級ホテルが併設され、敷地内には一戸建て分譲住宅の建設も始まっている。

クルーザーが並ぶポート・ラグーン・マリーナ。海に山にプーケットで楽しめるレジャーは本当に多様だ

高級スパを提供する「スコー・カルチュラル・スパ&ウェルネス」は、広大な敷地内を散策するだけで楽しい。同社でも昨秋、ロングステイ事業部を立ち上げて滞在型のサービスの提供を計画中だ。今夏は節電で休暇が長くなりそうな日本の企業マン向けに、特別プログラムも考案中という。

自然と調和

旅行者に人気のタイ鍋は海の幸がたっぷりだ。

2004年、インド洋大津波に見舞われ、翌年には観光収入が半減したプーケット。今回、島の数カ所で東日本大震災の寄付金や支援を求める呼びかけを見かけた。被災の衝撃を知り、現地での活動はタイ国内でも熱心だという。
 島内を3日間駆け回ったが、帰路につく頃には、「ここには人のおおらかさと田舎の良さがあるんです」と言う、地元の日本人会の人の言葉がしっかり心に刻まれていた。