クルマが普及する以前、川は“水上の道”でした。大阪は、縦横に水路をつくり、人や物資を運ぶ舟がにぎやかに往来することで発展しました。川が大都会を作りあげ、「水の都」として栄えてきたのです。
クルマの普及とともに川の役割は薄れ、埋めて道路にされたり、工場などの排水で汚れ放題になったりと、散々な扱いを受けた時代も長かったのですが、今、水の都・大阪を取り戻そうと、官民が力を合わせたステキな動きが活発です。
水質の改善はもちろん、遊覧船のための船着場「川の駅」を要所に設置するなど、大阪の川は刻々とおしゃれになっています。悪臭さえ放っていた川がよみがえり、遊びの場、いこいの場、自然を感じさせる癒しの場として復活です。
船上からお花見をする「お花見クルーズ」もそんな動きの中から生まれ、すっかり人気の春の風物詩です。
とくに江戸時代から大川(旧淀川)付近は、桜の名所として有名でした。現在4800本ともいわれるソメイヨシノが咲く時期に水上から眺めると、見慣れた景色も一変。桜色の景色をゆっくりたんのうできるのは船上ならではのぜいたくです。
天満橋近くの「八軒家浜船着場」から乗り込むと、そこは特等席。天満橋をくぐり抜け、第二寝屋川に針路をかえて大阪城と桜があでやかな、絵のような景色の中を遊覧。新鴫野橋を越えたところで折りかえして大川にもどり、川崎橋・銀橋の通称で知られる桜宮橋などをつぎつぎにくぐりぬける楽しさ、高層ビルも美しい景色となって、川は都会の春のもうひとつの美を教えてくれます。
パリのセーヌ川さながらの船上観光。水都・大阪を再発見するなら、やっぱり桜の季節がステキです。
歌舞伎役者が大阪松竹座の襲名公演などの折に道頓堀に船で繰り出すときのオープン船を運航しているのが一本松汽船。「屋根付きの船だと満潮時に水位が上がると通れなくなる橋がありますからね。どの橋の下も自由に往き来したいので、屋根なしにしました(笑)。風景をじかに感じることができて、川の楽しさを存分に体験していただけます。お花見弁当を食べながら、大阪の街を川から眺めるのは爽快ですよ」と、社長の一本松伸さん。一本松さんは、なんと作家の宮本輝さんと幼なじみ。『泥の川』『道頓堀川』など、大阪の川を舞台にした名作に深く共感できたという、大阪の川を知る第一人者です。
「大阪万博のころは汚れがひどかったけれど、最近は川岸も整備されてきました。これまでは建物が川に背を向けていましたが、川に面してドアをつくり、表側になってきているのがうれしいですね」
一本松さんは自社の船のことをポンポン船と呼び、四季さまざまな観光プランで、川と人をつなぎます。
