多くのスターを迎え、多くのスターを育て、大阪・ミナミのランドマークだった大阪新歌舞伎座は、平成21年6月の興行を最後に50年に幕を閉じ、上本町に移転します。今月のチャオ!は、なんばであと半年になった大阪新歌舞伎座に注目!
デンと構えた個性的な外観。昭和33年、お城かと見間違えるほどの独特のデザインで御堂筋のミナミの端に出現したとき、なにわっ子は大いに驚き、大いに喜んで、大阪の自慢がまたひとつ増えたと、誇らしく思ったはずです。
色とりどりの幟(のぼり)がはためき、待つ人々の熱気で、毎日がお祭りのような開場時間前。興奮冷めやらぬ上気した笑顔で劇場を出てくる人々のざわめき。正面玄関の風情だけを見ても、なにわ名所にふさわしい光景です。
劇場内には、日ごろのわずらわしい事をすっかり忘れて、思いっきり楽しむ至福のひとときが待っています。笑いあり、涙あり、人情物語に酔い、歌に酔い、手を伸ばせば届きそうな出演者たちと一体になる心地よさ。「夢・見つけにきませんか!」というキャッチフレーズのとおり、ここではきらびやかな夢の世界が毎日繰り広げられているのです。幕間にお弁当を食べるという、昔ながらの風情が残っているのも、お楽しみのひとつ。約4時間の別世界は、満足度も超一級です。


「大阪新歌舞伎座に育てていただいた」という俳優・松井誠さん座長公演の千秋楽の終演後、名古屋からやってきた永井節子さんと二宮芳子さんは正面玄関前で「今月は2回来ましたよ(笑)。松井誠のファンなの。名古屋の劇場より入場料が安いので、交通費を出しても高いと思わない」といい「こんな立派な建物がなくなるのは、惜しいですね。残すわけにはいかないのかしらねー」と、見納めるように外観を見上げていました。
「キャーッ、こっち向いて!」。なんば最後の公演ということで、舞台終了後、客を見送りにロビーに立ったあでやかな松井誠さんに嬌声をあげたのは、この舞台の演出家の教え子の女子大生たち。「新歌舞伎座は初めて。眠くなるような大人の内容かと思っていましたが(笑)、きれいで、楽しくて、ハマッテしまいそう」と、その臨場感にすっかり興奮気味。若い女子大生をも虜にする観劇体験。赤いちょうちんや素晴らしい緞帳など場内の雰囲気とあいまって、気分”フィーバー“のようです。

この建物で、このミナミでこの体験ができるのは、あと半年だけ。せっかく入場するのですから、建物の細部も、よく見ておきたいもの。
この建物は、建築家・村野藤吾の代表作といわれており「桃山調にしてほしい」という施主の依頼に応え、唐破風を何層も重ねた型破りな外観に始まり、天井や壁画、階段の手すりなど内装の細部にまで凝った装飾が施されています。入場の際には、建物内部装飾もぜひチェックして見てください。


新しい大阪新歌舞伎座は、上本町のランドマークとして平成22年の夏に完成予定の「上本町駅南複合ビル」(仮称)の6階から8階に移転が決まっています。
「阪神なんば線」の開通で神戸方面からも便利。難波からも電車で約3分の距離です。
ビル内に納まるのはちょっとサビシイというファンの声もありますが、新しい「大阪新歌舞伎座」には、直径14・5mの本格的な「回り舞台」が登場、ほかにも最新の舞台設備が導入され、1階から3階までの客席と舞台との距離が近く、臨場感あふれる観劇を体験できる素晴らしいホールとして登場するそうです(約1500席)。新生の新歌舞伎座が楽しみです。
梅沢武生劇団・梅沢富美男・前川清 特別公演(1月2日~26日)
藤あや子・坂本冬美 新歌舞伎座特別公演(2月28日~3月26日)
五木ひろし 芸能生活45周年感謝祭(4月3日~27日)
「その男」(池波正太郎原作)上川隆也、平幹二朗ほか(5月2日~27日)
6月は…最終サプライズ企画をお楽しみに
