近年の健康志向から、勤務先で、あるいは個人で人間ドックを受診する人が増えています。血液検査、胸部X線、胃透視、心電図や腹部エコーなどの他に、オプションとして婦人科検診があります。
皆さんは、人間ドックで婦人科検診をしたから大丈夫と思っていませんか?
人間ドックでの婦人科検診とは、子宮頚部の細胞診と内診です。子宮頚部がんはチェックできますが、内診だけでは、子宮筋腫(とくに粘膜下筋腫)や卵巣腫瘍、まして自覚症状の乏しい性感染症などを診断するのは困難です。内診は膣内に挿入した指と、下腹部に置いた手で、子宮や卵巣を両手ではさむようにして診察します。バリウムを飲んでいたり、緊張して下腹部に力が入ったり、下腹部の脂肪が厚い方は子宮や、とくに卵巣が不明瞭で、異常なしと診断されがちです。毎年人間ドックで婦人科検診を受けていた方が、卵巣腫瘍を見逃されており、発見時に悪性化していたり、月経不順の方が子宮頚部細胞診では異常なしでしたが、のちに子宮体部がんが見つかったこともあります。これらの症例は、経膣エコーや子宮体部細胞診を施行すれば、発見されやすくなります。
婦人科医は、その人の自覚症状を聞き、必要と思われる検査を行います。もちろん、自覚症状のない異常も存在します。
人間ドックの婦人科検診で異常がないからと過信せず、年に一度は専門医の受診をお勧めします。

にしの・てるよ
昭和54年、兵庫医科大学卒。翌年より大阪回生病院、大阪大学医学部付属病院、大阪船員保険病院の勤務医を経て、平成4年から大手前病院産婦人科医長。平成17年に現クリニックを大阪市中央区に開院。