
寅さんの啖呵売(たんかばい)が懐かしい。ご存じ映画「寅さんシリーズ」の車寅次郎は、お祭りなどの縁日で道行く人に口上を述べながら物を売るのが生業でした。映画の最盛期には毎年、お盆と正月に最新作が封切られ、ワクワクして観に行っては台詞の真似をしてみたものです。「物のはじまりが一ならば、くにのはじまりはやまとのくに、島のはじまりは淡路島…」なんてね。さて、その口上の古典といえば歌舞伎十八番「外郎売」(ういろううり)。「ういろう」というのは飲むと口の中がスッとしておまけに舌の回りが良くなるという薬のこと。芝居の中で、物売りはこの薬を一粒飲んで早口言葉を流暢にしゃべり、どれだけ効果があるか証明してみせます。この演目の見せ所でもあります。
じつは、この「外郎売」の台詞は早口言葉がたくさん出てくることから、アナウンサーの練習にもってこいなのです。その一部を紹介すると「書写山の写僧正、書写じゃぞ書写じゃぞ」とか「菊栗菊栗三菊栗合わせて菊栗六菊栗…」など。口上は全部で約4分かかりますが、これを新人のころ研修で暗記させられました。今でも仕事の前のウォーミングアップに、ひとしきりこれを喋ってから本番に臨みます。え、「ういろう」も飲んでるのか、って? いやいや口上だけでも効くんです。口上は向上に通ずるなんてね。いや、そうなりゃいいんですが一生修行です。
次回は、「外郎売」の研修をしたばかりの新人高橋真理恵アナです。

昭和40年関西テレビ放送入社。編成制作局アナウンス部。
「KTVニュースフラッシュ」「FNNスーパーニュ-スアンカー」担当他。趣味は読書と散歩とお酒少々。
昭和21年7月22日生まれ、東京都出身、O型。
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